作成:2018.11.12 更新:2023.7.5
カマスを釣るなら針選びから!その特殊な形状と利点を徹底解説
秋冬に最盛期を迎えるカマス。すらりと伸びた銀色の魚体と、銛のように尖った頭部が特徴です。顎に並んだ鋭い歯は、フィッシュイーターらしい強烈なファイトを期待させてくれます。今回は、そんなカマス釣りに使う釣り針について解説していきます。
目次
カマス釣りでの針選び、重要なポイントは?

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釣り針を選ぶためにまず考えるべきポイントは、ターゲットとする魚種がどのように餌を食べるのかということです。噛みつくのか、吸い込むのか、かじりとるのか。そうした魚の生態から、釣りに使用する針の形状を選んでいきます。
カマスは細長い顎部を持つフィッシュイーターで、ベイトに対して噛みつくように襲いかかります。アタリはガツンと激しいものになるため、とっさにアワセた際の針の「フッキングしやすさ」が大事になってきます。
また、鋸のように並んだカマスの歯は非常に鋭く、ときに驚くほどあっさりと釣り糸を切断してしまいます。そのため、せっかく餌に食いついたカマスを確実に釣り上げるためには、「ハリスの保護」が重要になってきます。これら2点を踏まえて、よくカマス釣りに使われるのが「長軸針」と呼ばれるものです。この特徴的な釣り針について、以下に解説していきます。
長軸針ってどんな針?その形状と機能を解説

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長軸針とは、針の軸(ラインに結ぶ上端部とカーブ部の間)の部分が通常のものよりも長くなっている針のことです。多くは「太刀魚針」として販売されていますが、カマス専用の商品もあります。
針の軸を長くすることには、大きく2つの機能があります。第一に、フッキングしやすくなることです。釣り針において、軸は「てこ」の機能を持ちます。軸の部分が長いことによって、アワセた際に針の先端部分の暴れが大きくなるため、より深く確実に針掛かりします。
そしてもう一つ、長軸針には「のど奥まで呑み込まれにくい」という機能があります。これによって、魚の歯がハリスにこすれることを防ぎ、ハリス切れによるバラしが少なくなります。
また、長軸針の多くはカン付き(カン=環、ラインを結ぶ部分が輪っか状になっていること)であることも特徴的です。これにより、強い(太い)ハリスもきっちりと結べるようになっています。
Marufuji(マルフジ)Z-032カマスWフック金針10号釣り針
言わずと知れた釣り針メーカー、マルフジより発売のカマス向け長軸針です。この針は、金色のメッキと胴打ち加工により、水中でキラキラと光を反射するようになっているのが特徴です。カマスは嗅覚ではなく視覚で餌を追うと言われるほど目がよいため、高い集魚効果が期待できます。
季節によって針サイズを使い分け

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日本で釣れるカマスには2種類あり、シーズンの始めでは体長10cmから25cmほどの「ヤマトカマス」が、シーズン中頃からは体長30cmから50cm近くにもなる「アカカマス」が出てきます。いかに長軸針といえども、魚の顎部に対して小さすぎれば簡単に飲み込まれてしまい、ハリス切れの危険性が高くなるので、カマス釣りでは季節によって針のサイズを使い分けていきます。
シーズン始めの初秋では、10号 (太刀魚針なら1/0号)程度が無難です。中秋ごろからはアカカマスを考慮して、大きめの12号を用意しておきましょう。また、シーズン終わりの晩秋に大物を狙うなら、満を持して特大の太刀魚針3/0号を使います。
なお、カマスは針が多少大きくても頓着せずに食らいついてきます。小さい針を飲まれてハリスを切られてしまったらどうにもなりません。迷ったら大きめ、これがカマス釣りでの針選びの鉄則です。
意外とカンタン!カン付き釣針の結び方

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釣り針の結び方は、何となく難しそうなイメージを持ってしまいがちなのですが、手を動かして何度か練習すれば意外とカンタンに覚られます。今回は、カン付き針のオーソドックスな結び方を2つ、ご紹介します。
まずは基本!クリンチノット
クリンチノットはとても基本的なラインの結び方で、簡単で素早く結び目を作ることができます。
まず、ラインの先端をカン(針の頭の輪っか)に通して折り返し、本線に巻き付けていきます。4回ほど巻いてから、折り返し箇所にできたループに先端を通します。すると新たにループができますので、そこにラインの先端を通し、締め込めば完成です。
漁師さん御用達!完全結び
完全結びは漁師結びとも呼ばれ、非常に堅固な結び目を作ることができます。やや複雑になりますが、ぜひマスターしたい結び方です。
まずハリスを2つ折りにし、ループ部分をカンに通して折り返します。すると、カンの上にハリスが4本(ループになった2本+本線+末端)並びます。末端部分のハリスで、他の3本をまとめて巻き付けていきます。4回ほど巻いたら、先端をループに通し、締め込めば完成です。
カマス釣りの新裏技!?一風変わった釣り方「引っかけ釣り」で使う針についてもこっそり解説

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今回、この記事ではカマスの「口」に針をかけて釣り上げるための釣り針をご紹介してきました。なにを当たり前のことを、と思われたかもしれませんが、実は、カマス釣りの比較的新しい手法として「引っかけ釣り」というものがあります。
この引っかけ釣りは、船からカマスの魚群めがけて仕掛けを落とし、上下に動かしてカマスの体に針をかけるというものです。この釣り方では、ハリスを噛み切られる心配がないので、餌釣りのときとは取るべき戦略が違ってきます。
引っかけ釣りは、まだ確立された釣り方ではなく、使用する針についても決定的なものはありません。アプローチとしては、大まかに2通りがあります。第一に、引っかけ効率を重視してトリプルフックを使うアプローチです。ラインに5、6個のトリプルフックがぶら下がる様は凶悪ですらあり、見るからに引っかかりやすそうですが、内側のフックがこすれるためラインやハリスの傷みが激しいという欠点があります。
第二に、サビキ仕掛けを使用するアプローチもあります。針の形状としては、チヌ針やイサキ針などフトコロの広いものを使用します。サバ皮やフラッシャーなどの付いた金・白金の針を選び、集魚効果を狙うことも多いです。
Marufuji(マルフジ)P-572トリック7大物用10号
マルフジより発売の大物用サビキ仕掛けです。フトコロの広い大型の針が7本付いており、引っかけ釣りにも使いやすい一品です。
適切な針でカマス釣りはばっちり!でも釣り上げた後にもご注意を
いかがでしたでしょうか。この記事では、カマス釣りにおける長軸針の機能と利点についてご紹介してきました。ぜひ一度お試しになり、その威力を体感してください。ただし、カマスの鋭い歯は、無事釣り上げた後にも牙を剥きます。針はずしの際など、素手での取り扱いはできるだけ避けるようにしましょう。