作成:2018.5.25 更新:2023.7.4
「ヘチ釣り」で大物の感触を直接その手に!魅力とコツを徹底解析
ヘチ釣りの主なターゲットとなるのはチヌ(クロダイ)。関東圏を中心に愛される「ヘチ釣り」の大きな魅力、そして上手に魚を釣り上げるためのコツや必要な道具などを細かく解説していきます。
目次
まずはズバリ、「ヘチ釣り」って何?

大物の感触がダイレクトに味わえる、ヘチ釣りってどんな釣り?
ヘチ釣りとは、まさに言葉の通り堤防などの「ヘチ」つまり足元などの際をひたすら探っていくという釣り。
撒き餌を使って魚を呼んでくるカゴ釣り等とは違い、餌を足元に落としながらこちらから魚を探していくので、「ランアンドガン(移動を繰り返す)」のスタイルが主流の釣りです。
仕掛けは非常にシンプルでウキなども使用せず、また錘も最小限の重さに留める釣り。だからこそ魚とのやり取りが非常にダイレクトで、大物の感触がまさにその手に伝わってくる方法です。
遠くにいる魚を探すわけではなく足元にいる魚を見つけていくので、まさに魚とその場で対峙しているような感触を味わうことが出来るのです。
主に狙うのはチヌですが、ターゲットはそれだけではありません。
根魚から大きなフィッシュイーターに至るまで、ヘチ釣りの可能性はとても幅広いものです。
何十年もヘチ釣り一筋で釣りを楽しんでいるヘチ釣り師が珍しい存在ではないのもそのため。
実は同じような方法で関西方面、中京方面では「落とし込み釣り」と呼ばれる釣りがあります。
ただ使われるロッドやラインなども若干変わってくるので、厳密に同じ釣りと言うことは出来ません。
ただ共通する項目も非常に多いので、落とし込み釣りをやってみたいという人も是非この記事を参考にしてみてください。
ヘチ釣りのシーズンってあるの?
チヌ(クロダイ)狙いのヘチ釣りの一番釣れるシーズンは5月から8月、春から夏にかけてです。
勿論場所によって時期に差はあるものの、目安としては日中に半袖で過ごせれるようになってきたらヘチ釣りシーズン開幕!
チヌは基本的に夜に活性が上がるといわれる、夜釣り種のひとつです。ただこのシーズンのチヌに限って言うと、日中でもどんどんと食いついてくるようになります。
もしこれからチヌ狙いのヘチ釣りを始めてみようと思っているのであれば、この時期から始めるのがお勧めです。
ただ一番チヌを狙うのが難しいといわれる12月から2月を除けばいつでも釣れるのがヘチ釣りの魅力。
さらに根魚など釣りたい魚種を拡大すれば、オフシーズンがない、一年中楽しめる釣りとなります。
ヘチ釣りで使用されるタックルについて
ヘチ釣りの道具は、他の海釣りの道具とはかなり違うものです。
3メートル程度の専用ロッド、そして「タイコリール」と呼ばれるリール、また使用するラインをご紹介しましょう。
竿(ロッド)はどんなものを使うの?
歩き回る釣りが主体で、ロッドを上下させる動作が多くなるのがヘチ釣りです。
そしてメインターゲットのチヌを含め、大物がかかる確率が高いのもこの釣りの特徴になります。
だからこそいかに軽く取り回せるか、そして大物が掛かってもしっかり上まで浮き上がらせることが出来る強度があるかが重要になります。
また釣りの特性上、ラインが抵抗なくスムーズに出ていくことがとても重要。
釣りによっては他のジャンルのロッドが流用できることも少なくありませんが、ヘチ釣り用のロッドに関しては専用のものでなければ満足に釣りをすることが出来ません。
糸ふけが出ないようにガイドの間隔が狭く、なおかつ非常に小さくなっています。
ロッドの長さは2メートルから3メートル程度まで。
それ以上長く、なおかつガイドがUガイドになっているのは「落とし込み釣り」用のロッドになります。
時に「ヘチ釣り、落とし込み釣り用」となっていますが、基本的にヘチ釣りでは長尺のUガイドは使用されません。
ヘチ釣りで使用される、タイコリールって何?

釣りをしない人でも一度は何かの機会に見たことがあるリールといえばスピニングリール、もしくはベイトリールといった道具。
2大リールともいわれ、「どっちのリールの方がいいのか?」という記事もよく見かけるほどにポピュラーです。
ただヘチ釣りで使われるリールはそのどちらでもありません。
それが「タイコリール」と呼ばれるもの。
主にヘチ釣りや落とし込み釣り、または山の渓流で行うフライフィッシングでしか使用されないリールです。
特徴は非常に作りが簡素で軽いこと。
そして糸を巻き込む力が弱いこと。
作りが簡単なため、他の種類のリールと比べてもとてもリーズナブルなのも嬉しい特徴です。
スピニングリールなどのようなドラグ機能はないので、魚の引っ張る強さをリールが吸収することはありません。魚の反応をすべてダイレクトに伝えてくるのがタイコリールの特徴。だからこそヘチ釣りが「魚との直接の対話」とも呼ばれる釣りになるのです。
まさにヘチ釣り入門のための太鼓リール。
スタイリッシュでどんなロッドとも合うデザイン。
ダイワの専用リール。
性能は申し分ありません。
ヘチ釣りに使う糸(ライン)はどんなのを選べばいいの?
最近様々な釣りでPEラインが流行していますが、ヘチ釣りで今だに主流として使われているのはナイロンラインです。
軽い仕掛けを使って水中に自然に落としていく釣りのため、PEだとまず浮力がありすぎるという問題があります。
また強い風が吹くと細いPEラインはすぐに煽られてしまいアタリが取れません。
魚に違和感を与えないように、それでもPEラインの極細を使用する釣り師も確かにいます。ただ、初心者はやはり扱いやすいナイロンラインからスタートするのが一番安全策といえます。
ナイロンをチョイスする場合、選ぶ太さは2号から3号です。
あまりに太すぎると逆に警戒心の強いチヌに見つかってしまって食わなくなってしまいますし、細すぎると大物が掛かった時に対処できなくなります。
加えて、ヘチ釣りはいつも手に明確なアタリが来るという釣りではありません。
餌を加えたチヌが走っていき、それに応じて糸が出ていくことでアタリを見るということも多々あります。
そのため、すべてが同じ色のラインだとアタリがすぐに見極めれないことがあるのです。
等間隔で違う色が使用されているラインを選ぶと、より分かりやすくアタリを読み取ることが出来るでしょう。
サンライン 黒鯛イズム 落とし込み マークウィン 100m 2.5号ホワイト&ブラック&エキサイトオレンジ&ミエールグリーン
主な対応魚種:黒鯛 チヌ
素材:ナイロン
全長:100m
号数:2.5号
カラー:ホワイト&ブラック&エキサイトオレンジ&ミエールグリーン
ヘチ釣りに使われる仕掛けについて
ヘチ釣りで使われるハリス
ヘチ釣りで使うハリスはフロロカーボンの2号あたり。
短めに案内しているサイトなどもありますが、筆者の経験上ハリスはある程度長めに設定するのが良いと思います。
それは、警戒心が強いチヌに蛍光色などのカラフルな色が使用されることが多いヘチ釣りの道糸を見せないようにするため。
いくらハリスが透明でも、道糸を目にした時点でチヌは餌に食いつくのを渋るかもしれません。
また岸壁際で釣りをするため、チヌがかかった時に壁などにハリスが擦れることも多々あります。
ハリスの下側がそれで傷ついてしまった場合は、ハリスごと替えるのではなくその部分だけ切ることも可能です。
それらを考えた上で、ハリスは大体1,5メートルほどを取ると確実でしょう。
そして1メートルよりも短くなりそうになったらハリスごと交換します。
大物とのバトルが楽しいヘチ釣りですから、ハリスは定期的に状態を確認するのがベスト。せっかくかかった大物をハリスの弱さのせいで取り逃がすことだけは避けたいものです。
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ヘチ釣りの仕掛けとその理由

ヘチ釣りの仕掛けは様々な釣りの中でも一番シンプルです。
針と、そしてガン玉と呼ばれる小さい錘だけだからです。
ガン玉のサイズもなるべく小さいものを使うとよいでしょう。
これはその日の海や風の状況に応じて変更することが出来ます。もし無風で波もない日であれば使用するのはB程度のサイズ。マックスでも5Bほどの大きさに収めましょう。
餌がより自然に、海を漂うように落ちていくのがベスト。錘の重さで高速で落ちていく餌は、チヌには違和感の塊にしか映りません。
針は伊勢尼針の5号から最大でチヌ針の5号まで。
餌は取られるのに全然針に食わない時は少しづつ小さい針に変えていきましょう。
ヘチ釣りで使われる餌の種類
詳しくは本サイトの別記事に詳しくまとめられているので参考に出来ます。
ただ簡単にまとめますと、ヘチ釣りの餌は現地で採取できる!ということ。
勿論売られている餌を買ってくることも出来ますが、餌代がタダになるって釣り師にとってかなり大きいメリット。
現地で採取できる餌、そして売られている餌でヘチ釣りに使える代表例を紹介しましょう。
餌を現地で採取しよう!
現地で採取できる餌の代表例としてはイガイという貝があります。
よく堤防の岸壁に固まってへばりついている黒い小さい貝のこと。この貝が生息する堤防にはほぼ間違いなくチヌもいるので、初めて行くポイントを探る一つの目安にもなります。
この貝を殻ごと針につけて使います。
メリットは、この餌にするとほぼチヌかキビレしか食ってこないこと。餌取りの代表であるフグなどの影響をある程度避けることが出来ます(食ってこないわけではありません)。
ただ同じ理由がデメリットになることもあり、チヌだけでなく五目で探っていきたい場合には難しい餌ともなってしまいます。
同じく現地で採取できるものとしてはカニも上げられます。
餌釣りでカニほど魚を魅了する餌も少ないと筆者は思っていますが、ただ捕まえる難易度はイガイより数段上…。買ってしまう方が早いかもしれません。
ヘチ釣りの餌を購入する場合
ヘチ釣りで使える餌は多岐にわたっており、例えばごく一般に使われるアオイソメも有効です。
それから上述したカニも売られていますし、ジャリメを房掛け(複数の餌を一つの針にかけること)もチヌの視線を一気に集めて食わせることが出来ます。
少し高額になってしまいますが、生き餌のエビを使うと驚くほどによく釣れることも。
またスーパーで売られているようなシジミなどを買ってくる人も多数。
上手に餌をゲットして、楽しく釣りを行っていきましょう。
ヘチ釣りのポイント徹底解説!
ヘチ釣りというからには、勿論一番探らなくてはいけないのは堤防のヘチ。
ただやみ雲に淡々とヘチを狙い続けていくわけではありません。
狙うべき場所、そしてその理由もしっかりとあります。写真をもとに説明していきましょう。
ヘチで重点的に探るべき場所は

ヘチ釣りがランアンドガン(通称ランガン)の釣りだということは上述しました。
つまり堤防淵をくまなく探っていくという気の長い釣りです。
そのうえで、さらに重点的に探るべきポイントを上の写真をもとに解説しましょう(若干暗くて申し訳ない)。
手前にうつっている男性はまさにヘチ釣りをしている釣り師。この男性の足元にはちょうどコンクリを打った境目があるのが分かるでしょうか。
この境目、人間の目には全く大きなものには移りませんが、海の中では波が当たって潮が変わるポイントになります。勿論些細な変化に過ぎませんが、そこに小魚やプランクトンがたまり、チヌもくるのです。
まずはこうしたポイントをくまなく探っていきましょう。
次に写真のもう少し奥の方、堤防が右側に折れ曲がっている場所がわかるでしょうか。
その内角、外門も非常に魚が釣りやすいポイントです。
特に内角側はチヌだけでなく、根魚などがヒットする可能性もあります。
見ずらいですが、一番奥の堤防先端も注目ポイント。
ヘチ釣りに限らず、シーバス狙いや堤防からのちょい投げでも同じですが、潮が変わるこういったポイントは動植物プランクトンなどがたまり易く、それを探す小魚、そしてそれを求めるフィッシュイーターが来るという小さな食物連鎖が起こります。
釣りの際には必ず試してみるべき場所ということになるのです。
ヘチ釣りで狙う水深は
次に水深の話をしていきましょう。
チヌはよく、一番底の方にいると言われます。
恐らくそれも正解。
だからこそ上から落ちてくる餌に反応するという性質を持っているのでしょう。
ただ、非常に活性が上がっているチヌはかなり上の方へ上がってきていることも珍しくありません。
特にシーズンとなる夏の間はかなり上からまずは探ることが出来ます。
そこでアタリがなければそのまま下へ落としていくのです。
ヘチ釣りの釣り方とは

基本的には仕掛けの自重を利用して餌を海中に落としていくという釣り。
慣れないと難しいのはアタリの取り方でしょう。
他のリールのように糸が固定されているわけではないので、明確なアタリがある釣りではありません。
急にラインが下に向けて、もしくは違う場所に向かって走り始めたらそれがアタリです。
すぐに合わせて引いてこなければなりません。
または、落ちていく最中に、まだ海底につかないはずなのに仕掛けの落下が止まったらそれもアタリ。
その場合はすぐに合わせず、少しさらにラインを送って餌を飲ませましょう。
それから合わせを行います。
ヘチ釣りであると便利な道具たち
堤防で大物(チヌ)を狙うヘチ釣りに欠かせないのは、タモ網です。
最後は片手でロッドを支え、そしてもう片方の手でタモを使ってチヌをすくい上げる必要があるため、なるべく扱いやすく、そして軽いタモ網が必要になります。
そして釣れた魚を扱うためのフィッシュグリップや、生かせておくためのストリンガーもあると非常に便利でしょう。
ランアンドガン釣りという特性上、移動するのに邪魔にならない程度の荷物にまとめる必要があります。
蛇足ですが、クーラーボックスなどの大きな道具は中々持ち歩きには向きません。
ただ全く見えない場所に置いてしまうと、悲しいことですが時々盗まれてしまうことがあります。
道具などの盗難にあわないようによく見える場所に設置するか、もしくは定期的に自分の近くに移動させるなどの方法をとることによって被害を未然に防ぎましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
チヌ狙いの堤防ヘチ釣りは、シンプルな仕掛けの中に沢山の可能性を秘めた釣りです。
勿論狙える魚はチヌだけではないので、一年中同じ道具、同じ仕掛けで様々な旬の魚を狙っていくことが出来るのも魅力の一つ。
ただ単純な中にもマスターするべきテクニックは多彩です。
そしてそれが多くの釣り師を虜にしている理由の一つでもあります。
ロッド、そしてタイコリールさえあれば誰でも始めれる堤防ヘチ釣り、今すぐ挑戦してみましょう!