作成:2018.8.28 更新:2023.3.21
万能竿って何でしょう?おすすめの商品の紹介と選び方の解説!
万能竿をどんな釣りにも使える万能の竿と理解している人はまずいないとは思いますが、そんな誤解を招きかねない名称ですね。これは文字通り「万能」ではなく「汎用性が広い」程の意味です。思い違いを払拭するためにも万能竿の選び方とおすすめを紹介します。
万能竿って本当に万能の竿なの?

出典:Visual Hunt
釣り竿と一口に言っても、餌釣り用の投げ竿、磯竿、船竿、延べ竿、疑似餌を使うルアーロッド、フライロッドなど様々あります。それぞれ要求される仕様が異なり、特に目的別に設計されたパワー、調子、長さ、重さとそのバランスは動かしようがありません。それを1本で済ませるような万能の竿など夢の話です。とは言え同じような竿を用途に合わせて何本も買うというのも贅沢と言うか、もったいないものです。
そこでニーズとして生まれたのが万能竿という竿です。しかしそういった名前の竿がある訳ではなく、ある用途の竿に汎用性があって別用途にも使いまわしが利くというものを万能竿と呼ぶだけです。メーカーが竿の使いやすさを追求したことが、その汎用性を広げる結果になったとも言えます。
万能竿にも種類があります

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釣り方によって竿が違うように、万能竿の種類も違ってきます。ここでは磯釣りに限定して、その対象になる竿の特徴について復習しておきます。魚を誘う方法によって餌釣りとルアーフィッシングに分かれます。
餌釣りとは、活き餌、保存餌、人工餌などを釣り針に付けてたりして魚を誘う釣り方です。餌自体は食べ物なので、その匂いや形態で魚を自然に寄せることができます。一般に仕掛けは止まっていて竿をあまり動かさずにすみます。
ルアーフィッシングは生き物を模した疑似餌(ルアー)をリールで巻きとって泳がせて魚を誘う釣り方です。無機質な疑似餌をリアルに見せるためにリールだけでなく、ロッド(ルアー竿)の操作も必要になります。
竿の動きだけに着目すれば、ルアーフィッシングが「動」で、餌釣りは「静」と言えるでしょう。これは当然、竿の造りの違いになって現れます。
餌釣りで用いる竿の種類と特徴

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仕掛けを落とし込む磯竿と投げ込む投げ竿に分かれます。磯竿も仕掛けを投げますが、落とし込むことを考慮して最低限海面上のポイントに届く長さが必要です。投げ竿の場合は投げた先がポイントですから竿が長い必要はありません。むしろ投げることに徹するので短くなります。特徴を簡単に表にしてみました。数値は目安です。
長さ | 錘負荷 | 飛距離 | 調子など | |
---|---|---|---|---|
磯竿 |
長い
4.5~6.5m |
軽い
1号~10号 |
近投
~100m |
胴調子
全体的に柔らかい |
投げ竿 |
短い
3.0m~4.5m |
重い
15号~35号 |
遠投
100m~ |
胴調子または先調子
竿先が硬い、パワーがある |
コンセプトが違う両竿種なのでそのまま選べば、良い磯竿、良い投げ竿が見つかるだけです。投げ竿としても使える磯竿、あるいは磯竿としても使える投げ竿が汎用性の高い万能竿と言えるでしょう。しかし汎用性を考えすぎてそれぞれの竿の長所を殺してしまっては正しい選択とは言えません。
ルアーフィッシングのロッドの特徴

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ルアーフィッシングではロッドを絶えず投げ続けるため磯竿よりさらに軽く、投げ竿よりさらに短いロッドが使われます。ルアーロッドは投げ竿のように竿と錘の重さではなく、長さで距離を出します。長いロッドは飛距離が出て、釣れる魚の種類も増えますが、ロッドを激しく動かす釣り方だけに取り回しも悪くなります。
万能竿によって広がる釣りの楽しみ

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万能竿と言っても普通の釣竿です、むしろ普通こそこの竿の個性です。強い特徴を持つ竿は必然的に汎用性がなくなるので万能竿とは言い難いでしょう。
万能竿にはふたつの役割があるようです。ひとつは初心者用です。誰でも最初はどんな竿で、どんな釣り方で、どんな魚を、どのポイントで釣ろうか迷いがあるはずです。迷いどころか知識もない、好みもないところに、竿のベストチョイスは無理からぬことです。最初に汎用性の高い竿を選んでおけば、すべてとは言えないものの、釣り方、釣る魚など広く試すことができます。それがその人にとっての万能竿となります。
もうひとつは中級者から上級者用です。汎用性は使う人のテクニックによっても広がります。テクニックが備わった人が万能竿を持てば正に鬼に金棒です。また新しい釣りの楽しみが広がります。例えば、餌釣りを楽しむ人は、ルアーフィッシングの初心者です。そんな人がルアーフィッシングにもトライしてみたいと思えば、ルアーの万能竿は打って付けの選択になります。
初心者にとって釣りの世界への導入役に、ベテランにとっては新たに釣りの楽しみを広げる手がかりになるのが万能竿です。
万能竿の選び方

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選び方と言っても定石があるのではありません。あなたが自由に選んで構わないのです。以前に浜で見た投げ竿がかっこいいと思っていたら、何も考えずに投げ竿を選んでください。長さも、号数も基本的に自由です。しかしまだどんな竿にするか決めかねているならば、参考にしてください。きっと後悔しない1本が見つかります。
餌釣りならば磯竿か投げ竿を選ぼう
磯竿か投げ竿かと言っても、ここが一番の難題です。どちらも優れた特質を持った竿です。究極的には釣りのどんなところに魅力を感じるかにもよります。投げ竿が重量感の魅力ならば、磯竿は長さの魅力です。感覚的なものだけではない具体的な選択のポイントをまとめてみました。
繊細に釣るなら磯竿がおすすめ
オーソドックスな選択と言えばやはり磯竿でしょう。竿先が柔らかいのでアタリが取りやすく、バレ難く、食い込みが良いのが特徴です。さらに掛った後に魚との繊細なやり取りができるのも磯竿の魅力です。最初は防波堤で、慣れてきたら岩場の磯釣りにチャレンジという計画があるのならば磯竿をおすすめします。
ウキ釣り、フカセ釣り、泳がせ釣り、カゴ釣り、サビキ釣り、等々の一般的な釣り方に万能に対応します。特に、ウキ釣りは磯竿の独壇場です。ウキ釣りの仕掛けは錘を加えても軽いので遠くに投げることができません。投げ竿を使ってしまっては、その長所を生かしきれません。
昔は投げ釣りに向かないと言われていましたが、今では磯竿でちょい投げは当たり前になっています。投げる技術は必要ですが、ハードな竿を選べば100mに迫る近投までこなせます。長さとしなりで投げるので、軽い仕掛けで上物を狙うにも最適です。
豪快に投げるなら投げ竿がおすすめ
特にこだわりがなければ投げ竿が無難な選択です。これを既に万能竿と呼ぶ人もいるくらいです。一般に短いので足場は限定されますが磯竿としても充分使えます。むしろ防波堤などで足元に仕掛けを落とし込む場合には短い投げ竿の方が有利です。何しろ投げ竿ですから、ちょい投げはもちろん、遠投して石鯛などの底物も狙うこともできます。初めはいきなりそんな遠いポイントまで届かなくても竿にはその可能性があります。
磯竿にできる釣り方に加え、遠投カゴ釣り、投げサビキなど投げを伴う釣り方に真価を発揮します。投げサビキは磯竿でもできますが、比較的重い仕掛けを投げるので錘負荷の大きい投げ竿が打って付けです。基本的にウキでアタリを見るので、多少繊細さに欠ける投げ竿でも問題にはなりません。
なお距離を競うような投げ専用の投げ竿は汎用性が少ないので万能竿としてはおすすめしません。
疑似餌を使うルアーフィッシング
ルアーフィッシングの世界では、すでに「釣り」を「フィッシング」と呼ぶように英単語が多用されます。パワー、ラインなどは磯竿などと共通として、竿をロッド、竿の調子をテーパーまたはアクションと言います。ロッドの中心が支点となって曲がるテーパーをレギュラー(R)、ロッドの1/3ではファースト(F)と言います。パワーもライト(L)、ミディアム(M)、ヘビー(H)の順で表します。このテーパーとパワー、そして長さがロッドを選ぶポイントとなります。また括弧内の略号は、しばしば製品名に使われています。
ルアーロッドは長さとテーパーで選ぼう
ルアーフィッシングを広く楽しむには、「シーバスロッド」と「ライトゲームロッド」の2本を揃えると良いとされています。ライトゲームとはアジやメバルなど比較的小さな魚を、ライト(L)なパワーのロッドで狙うという繊細な釣り方です。どちらかと言うとベテラン向きです。そのため竿も特殊なものとなります。万能竿とは言い難いので、これを除外して汎用性の高いシーバスロッドから万能竿を選ぶのが賢明でしょう。
シーバスロッドは、8ft(2.44m)から9ft6in(2.90m)の長さの製品がほとんどで、すでにこれらは汎用性があって万能竿と呼べるものです。対象外ですが、中には砂浜からの遠投にも耐える10ft(3.05m)台から12ft(3.66m)の長尺のロッドもあります。
パワーはミディアム(M)、テーパーは(メーカー表示があれば)レギュラー(R)が適当でしょう。
餌釣り万能竿ランキング
何をもって万能竿とするかは釣り人のテクニック、経験や好みによっても違ってきます。ここでは広く該当するように、初心者の最初の1本というコンセプトで選んでみました。繰り返しますが、ベテランの使用に充分耐える1本です。具体的には、潰しが利き、長く使える竿で、価格は無理のない1万円を超えないこととします。
磯 竿
長さは4.5m前後とします。これより長いと岩場などで足場の確保には有利になりますが、取り回しが悪く、風にあおられたりで初心者には何かと負担になります。号数はウキ釣り以上を目指すならば3号以上は必要です。号数が増えると、アタリの繊細な魚とやり取りするには厳しくなるのですが、逆に錘負荷が増えるため仕掛けの幅も広がります。
第1位 リバティクラブ磯風 3号-45・K / DAIWA
ダイワ(Daiwa)磯竿スピニングリバティクラブ磯風3-45・K釣り竿
堤防用の竿の標準とも言える竿で、フカセ釣り、サビキ釣り、ちょい投げ、等々に広く楽しめます。リバティクラブ磯風の遠投モデルも有り得ますが、万能竿とするには個性的なのでの対象から外しました。
長さ: 4.46
自重: 195g
オモリ負荷: 5-10号
適合ハリス: [ナイロン/lb]3-7
リール: スピニング
第2位 ホリデー イソ 3号 450 / シマノ
シマノ(SHIMANO)磯竿17ホリデー磯3号450サビキ釣り
リバティクラブ磯風と並んで磯竿の代名詞です。初心者用の竿としては 2号 300/350 または 3号 300/350 がありますが、岩場釣りなどへの展開を考えると万能竿としては短すぎます。
長さ: 4.51
自重: 200g
オモリ負荷: 5-8号
適合ハリス: [ナイロン/lb]3-7
リール: スピニング
投げ竿
長さはせいぜい4mです。磯竿が竿の長さで仕掛けを届けるに対して、投げ竿はその名のとおり投げて仕掛けを届けます。オモリの重さで距離を稼ぐためオモリ負荷が桁違いに大きくなります。ここでは標準的な15~20号からとします。
第1位 プライムサーフT 25号-405・W / DAIWA
ダイワロッドプライムサーフT25-405・W
価格を抑えた入門竿です。堤防釣りから遠投の投げ釣りまで対応できます。カーボン率92%で370gは投げ竿では軽い方です。コストだけを比較すると同社のリバティクラブ サーフ T に劣りますが、飛びの良さを加えたコストパフォーマンスでは負けてはいません。振り出し竿で仕舞寸法も1m強であるのも嬉しい。本格的な投げ竿へのファーストステップにもなります。
長さ: 4.05
自重: 370g
オモリ負荷: 20~30号
リールシート位置: 78mm
リール: スピニング
第2位 リバティクラブ サーフT 25号-390・K / DAIWA
ダイワ(Daiwa)投げ竿スピニングリバティクラブサーフT25-390・K釣り竿
プライムサーフよりさらに廉価に抑えています。メーカーはこちらを万能竿と位置付けているようです。仕舞寸法もさらに短く、元ガイドを折りたたみ式にしたり携帯性を重視しています。普及版には違いないのですが、万能竿としてこれを第一席に選ぶか迷いました。カーボン率が低く、重いのは個性でしょうが万能竿のコンセプトから外れるので第二席としました。
長さ: 3.9m
自重: 415g
オモリ負荷: 20~30号
リールシート位置: 82mm
リール: スピニング
ルアーフィシング万能竿ランキング
ルアーフィッシングではラインとガイドリングが激しく擦れ合います。メーカーのカタログに数値として載らないので実際に選択基準には成り難いのですが、ラインとガイドリングとの摩擦が極力少ないロッドを選びます。最近はPEラインが主流です。汎用性を考えて、ナイロンラインとPEライン共に適合する竿を選びます。価格は餌釣りの竿と同様に1万円を超えないこととします。
第1位 ルアーニスト 86M / DAIWA
ダイワ(Daiwa)シーバスロッドスピニング8.6ftルアーニスト86M釣り竿
仕様といい価格といい、同社のリバティクラブ シーバスを食ってしまうのではないかと心配になります。長短の竿を加え17種のラインアップの中の1本です。リバティクラブ シーバスはナイロンラインだけの対応でしたが、このシリーズ全種でPEラインが使えます。優れた表面研磨加工技術を持つ富士工業(株)のガイドリングを採用しています。
この長さにしては適合ルアー重量の幅が広くとれます。4号までのエギを投げることができます。
長さ: 2.59m(8ft6in)
自重: 158g
パワー: M
適合ルアー重量: 7-35g
適合エギ: 2.5~4.0号
適合ライン: [PE/号]0.6-1.5; [ナイロン/lb]8-16
リール: スピニング
第2位 ルアーマチック スピニング S86ML / シマノ
SHIMANO(シマノ)ルアーマチックスピニング
万能竿と呼ぶにふさわしく幅広いルアーゲームに対応しています。シーバスはもちろんエギング、ジギングも可能です。ロッドが長い程、飛距離は出ますが重量も増えます。そんなジレンマを解決してくれる飛距離を重視した設計です。
長さ: 2.59m(8ft6in)
自重: 145g
パワー: ML
適合ルアー重量: 6-28g
適合ライン: [PE/号]0.6-1.5; [ナイロン/lb]4-16
リール: スピニング
第3位 「三代目」クロステージ シーバス CRX-862ML / メジャークラフト
メジャークラフトシーバスロッドスピニング3代目クロステージシーバスCRX-862ML8.6フィート釣り竿
上位に挙げた2社程の会社程の知名度はないのですが、根強い人気を誇る1本です。なぜか他社はテーパー(アクション)を仕様として載せることが少ないのですが、RF(レギュラーとファーストの中間)です。初心者も最初はレギュラー(R)が適当ですが、すぐに次のステップとしてファーストに進みたくなるものです。
不思議なことに自重の表示がありません。購入前に確認できないのは残念でが、重いという情報は見つかっていません。
長さ: 2.59m(8ft6in)
パワー: ML
テーパー: RF
適合ルアー重量: 10-30g
適合ライン: [PE/号]0.8-2.0; [ナイロン/lb]8-14
リール: スピニング
磯釣り + ルアーフィッシング
ボーダレス 並継キャスティング仕様 285H2 / シマノ
シマノボーダレス並継キャスティング仕様285H2
シマノのボーダレスを紹介しない訳には行きません。価格がコンセプトと合わないので、おすすめではなく紹介にとどめておきます。ボーダレス(垣根がない)とは餌種、魚種を選ばないという意味です。基本は餌釣り用の磯竿ですが、キャスティング性能を重視してなんとルアーフィッシングも楽しめる仕様になっています。餌釣り竿をルアーに使う場合、重さとガイド抵抗が気になりますが、カーボン含有率99%なので190gと軽く、ガイド抵抗の問題を指摘する情報もありません。ただ巻きを超える上級テクニックにも充分対応できるでしょう。
ボーダレスにはキャスティングに向いていないシリーズもあるので万能竿として選ぶときは注意が必要です。
もう少しパワーが欲しい人にはH6シリーズもあります。こちらは20号までの錘を使える投げ竿仕様です。
実際にボーダレス 並継キャスティング仕様 285H2をルアーフィッシングに使った記事をご覧ください。
阪本智子の『ボーダレス』と出かけよう!!
出典:http://fishing.shimano.co.jp/isobohatei/sakamoto_borderless/07.html
釣り堀でルアー&泳がせ釣りを愉しんじゃおう!
~その①~
まとめ
万能竿とは特定の釣り方、釣る魚に強く限定されることなく、汎用性が個性になっている竿と言えるでしょう。しかしそのままでは普通の竿です。それを万能に変えるのは、竿とリールの操作はもとより、餌と仕掛け、ラインの選択、ポイントや釣る時間帯の決定などを総合したあなたの釣りテクニックです。