作成:2018.12.10 更新:2023.7.3
マダイのテンヤ釣り!餌から仕掛け、釣り方やコツなど完全解説!
テンヤ釣りとは、軸の長い針とそのチモト部分に円錐台型のオモリを付けた、テンヤと呼ばれる専用の釣り具に海エビなどを刺してマダイを狙う釣りの事です。そんなテンヤ釣りの基本から、道具、テクニックとコツまで完全網羅!
目次
マダイのテンヤ釣りはルアー釣りに似ている!

出典:Visual Hunt
船から狙うマダイのテンヤ釣りについて解説します。テンヤ釣りそのものは江戸時代から存在しますが、近年手軽に狙える、テンヤ一つでマダイを狙う一つテンヤ釣りが人気です。
一つテンヤ釣りは千葉県いすみ市大原漁港発祥で、シンプルでライトなタックルを使えるのに釣果はコマセを使った釣りと比べても見劣りしない釣果で全国に広がりました。
餌を使う釣りにもかかわらず、針掛かりからのやり取りのスリリングさとゲーム性の高さはルアーフィッシングそのもの。ルアーフィッシングと並行して行うアングラーも多いです。
シーズンは、産卵のために水深が浅くなる春の乗っ込み時期・水温低下の前に荒食いが始まる秋の落ち鯛の時期がトップシーズンになります。
春の乗っ込み時期に釣れるマダイは一発大物のシーズン。6kg以上の良型が上がる事もあり、水温の上がり調子になればその確率は上がります。
変わって秋の落ち鯛時期。サイズこそ2kgがメインになりますが、数釣りが期待できます。2桁の釣果の報告も多いです。
マダイテンヤの釣り方を解説

出典:Visual Hunt
まずはマダイの一つテンヤ釣りについて解説していきます。
マダイは基本的に海底に棲んでいる魚(どのくらい深い海底にいるのかは季節によって違いますが、ポイントの項目で解説します)なので底を取る(仕掛けを底に着ける事を指します)事が基本になります。
まずは準備から
仕掛け投入前の準備として、まずはテンヤの号数や重さを選んでいきます。これは水深や潮流によって変わりますが、船長に聞いてみるのが一番でしょう。テンヤが軽すぎると潮に流されて底を取れず、逆に重すぎるとテンヤを自然に落とす演出が出来なくなります。テンヤの場合は3号~8号、カブラの場合は5号~12号の中から選んでいきます。
もう一つ。リールのドラグ性能は、マダイの一つテンヤの場合は1kgに調整していきます。これは船長に調整してもらった方が良いです。しかし竿先に水1リットルを入れたペットボトルをぶら下げ、軽くゆすった時にジッジッと糸が出る程度に調整しておいても良いでしょう。
1. まずは仕掛けを投入
船長の合図があったらいよいよもって仕掛けを投入していきます。普通はリールのスプールをフリーにして仕掛けを落下して着底させます(底ダチを取るといいます)。潮の流れが速い時はラインに軽く触れながら投入すると真っすぐ落ちます。
着底の合図は、仕掛けを投入した時にラインが一瞬緩みます。見逃さないようにしましょう。この時にマーカー付きのラインを使っていれば、着底した時の色を覚えられるので次の仕掛け投入が楽になります。
場合によっては中層でアタリが出る場合があります。その場合はタナを上げてみましょう。
2. 着底したら
着底したら、リールのベール(リールを巻いている部分の上にある、半円状の金属線の事です)を戻して糸ふけ(糸のたるみ)を取ります。この時に仕掛けが海底から少し浮きます(これを底を切るといいます)。ここでアタリがなければ、海面とロッドの角度が45度になるように竿先を大きくシャクリ上げます(シャクリとは、竿を煽り本物の生き物のように見せる事を言います)。その後ロッドの位置を元に戻し、仕掛けを落とし込みます。
これ以降、次の仕掛け投入まで着底させる必要はなく、そのままの水深で仕掛けをリフトフォールさせます(リフトとは仕掛けを持ち上げることを、フォールとは仕掛けを落とし込むことを指します)。リフトさせた後少しの間を取る事がポイントです。
竿をリフトさせた時とフォールさせた時のどちらも、コツっとしたアタリが来る場合があるので集中しましょう。フォールさせた時に手やラインに違和感があった時はアタリの可能性が高いので、竿を大きく振り上げて、速攻に大アワセを入れましょう。
3. 誘いを入れる
冬の深場であれば、縦に誘いを入れましょう。着底した時に回数を多くシャクリを入れてみましょう。誘いの間はフォールを入れないことでテンヤも大きく跳ね上がり、広いタナを探る事ができます。誘いが終わったら、必ず仕掛けを止めたりフォールすることにより食わせの間を与えましょう。ずっと同じ動きにせず、小刻みに動かしたり、フォールや仕掛けを止める時間を長くとって変化を与えます。
逆に浅場であれば、着底した時に糸ふけを取りシャクりを入れた後に竿を止め、カーブフォール(文字通り、カーブしながらフォールする事です。曲がりながら仕掛けを落とし込みます)で再び着底させます。
4. アタリがあったら
アタリがあれば、すぐに巻き上げられるようにハンドルに手を添え、利き腕で一気に竿を立てます。フッキングが完璧であれば、強烈な引きを感じるはずです。この引きが魅力的で、マダイの一つテンヤ釣りが人気になっている要因の一つです。事前にドラグ性能をしっかりと調整できていれば、引きの強さに応じてラインが出るのでラインが切れる心配はありません。
秋の落ち鯛の時期に釣れる小型の物であればすんなり上がる可能性がありますが、基本的に針掛かりしたマダイは逃げようとします。これを竿でこらえます。リールを巻くのはまだです。リールを巻くとバラしてしまいますよ。
動きが鈍くなれば、最初はテンションを緩めず、最初は速めにリールを巻き、その後ゆっくりと巻いていきます。途中で下に突っ込むような動きがあれば巻くのをやめて、また竿でこらえます。これを繰り返していくとマダイは疲れるので、せっかく巻いたリールがまた送り出されても焦らずに冷静に対応しましょう。
海面まで引き上げると、頃合いを見て船長がたも網で掬ってくれます。マダイの大きさと色の良さに驚いてください。
リフトした直後にアタリがあった場合・魚が小さい場合・即アワセがうまくいかなかった場合は巻きアワセをします(巻きアワセとは、巻いてアワセることを指します。鋭くリールを回転させます)。アタリがあってもアワセずゆっくりと竿を煽り、引きが強くなった時に早くリールを巻きます。
マダイのテンヤ、タックル選びはパワーも重要

出典:Visual Hunt
一つテンヤマダイも、タックル選びは適当で良いという事は決してありません。ちゃんとマダイ一つテンヤ専用のタックルを選ぶ必要があります。ここでは、一つテンヤマダイ釣りに選ぶべきタックルについて解説します。
餌釣りというよりは、ルアーフィッシングの方がタックル選びは近いです。
ロッド
ロッドは当然専用竿を使います。一つテンヤ専用ロッドの特徴として、繊細なアタリを感じ取れるような穂先に大物クラスにも対応できる張りのある胴があります。
長さについては、短いなら浅場・長いなら深場に使います。2.4mならオールマイティに活躍できます。
調子は7:3か8:2です。先調子ならアタリが分かりやすいです。バラシの少ない胴調子も捨てがたいです。
オモリは1.5号(5.6g)から15号(56.25g)です。3号(11.25g)〜10号(37.5g)は初心者でも使いやすいです。
硬さは、柔らかいものは浅場・硬いものは深場です。入門者はML(ミディアムライト)かM(ミディアム)から選びます。
- 長さは2.4m
- 調子は8:2
- オモリは3号~10号
- ロッドの硬さはMLかM
他に気を付けることは?
長時間の釣行であれば、軽いロッドの方が繊細なアタリも取れるため有利ですが、パワーもある程度必要です。
海が荒れている時や深場であればパワーの高いロッドがテンヤを扱いやすいです。
ただ、5万円程度の高価格ロッドであれば性能がとても高いので、軽さとパワーと感度と耐久性全部ほしいという欲張りな方は敢えて高価格ロッドを選ぶのもアリです。
マダイテンヤのロッドについてさらに知りたい方はこちらへ。
スパイラルXによって操作性アップ!アタリも取りやすい!
大手釣り具メーカーシマノのマダイ専用ブランド「エンゲツ」、そのテンヤゲームモデルです。
タフテックαでアタリが取りやすいです。
ブランクスにはスパイラルXとハイパワーXが組み合わせてあり、シャープな操作性を実現しています。
実売価格は25,000円ほど。
リール
重量や巻き上げ量のバランスがよい、小型スピニングリールの2500番~3000番が最適です。
極細ラインで大物を釣るので、ドラグ性能に頼る機会は多いです。出来るだけドラグ性能の良いものを選びましょう。
大物であれば、50m以上走られることも珍しくないため、ラインを150m以上巻けるスペックも重要。
値段で言えば、1万円~3万円程度、ロッドと同じぐらいリールにもお金を掛けましょう。あまり安すぎると性能も低くなりますよ。
最後に、PEラインを使う事になるためライントラブルの防止性能も高い商品を選ぶ事も大事です。
高い基本性能!
シマノ ストラディック C3000HG
ギア比: 6.0
実用ドラグ力/最大ドラグ力(kg): 3.5/9.0
自重(g): 225
糸巻量:ナイロン(号-m) 2.5-180、3-150、4-100/ フロロ(号-m) 2.5-160、3-130、4-100/ PE(号-m) 1-400、1.5-270、2-200
最大巻上長(cm/ハンドル1回転): 89
マイクロモジュールギアⅡとサイレントドライブを搭載することで上位機種に迫るリーリング性能があります。
そして、AR-Cスプールとロングストロークスプールの組み合わせで、最適かつスムーズにラインが放出されるのでライントラブルも軽減されます。
ドラグ性能、防水性能、耐久性も申し分ありません。
実売価格は20,000円ほどです。
ライン
感度が求められるマダイテンヤでは、道糸にはPEラインを使うのが普通です。
号数については、小さい方が潮の影響を受けずに済み、自然に落とし込みやすく有利に誘えます。ただ、あまり細すぎると強度が低くなりすぎてしまうので、0.8号を選びましょう。
タナが上の方にきている場合があるので、もしあればマーカーが付いたものを選ぶのも良いでしょう。
PEラインを使うのでショックリーダーをテンヤ側に結びます。結び方はFGノットやミッドノットが良いでしょう。
根ズレに強く比重が重いフロロカーボンラインを使います。号数については10lb(2.5号)を選びますが、道糸の太さに合わせてショックリーダーの太さも変えていく必要があります。
コスパ抜群!
シマノの8本編みのPEラインです。
8本編みなので、水さばきも良く操作性に優れます。
強度も申し分なく、タナ取りがしやすいカラーパターンが採用されていて使いやすいです。
実売価格は200mで2,300円ほどです。
結束強度の高さと操作性の良さはテンヤゲームの強い味方
結束強度が高く、マダイテンヤでは有利にはたらきます。
柔軟性も持っているため、操作性も高いです。
高分子フロロカーボンの採用で強度も申し分ありません。
実売価格は30mで1,200円ほどです。
マダイをテンヤで狙う時の仕掛けは至ってシンプル!

出典:Visual Hunt
ここでは、テンヤマダイで使用する仕掛けについて書いていきます。
テンヤマダイの仕掛けは、道糸にリーダー(ハリス)を結び付け、ハリスの先にテンヤを結んで尻尾を切ったエビをセットするだけの簡単な仕掛けです。
テンヤ・カブラ
まず、テンヤとカブラについて説明します。
テンヤとカブラの違いは、オモリの形状です。鉛やタングステン素材のオモリの形状が台形ならテンヤ・丸型ならカブラです。ただ、両方ともテンヤと呼ばれることもあります。
釣り方の項目でちらっと出てきましたが、テンヤの号数は3号~8号と軽く、カブラの号数は5号~12号の重めの物が多いです。テンヤなど軽いものは底取りが難しくなりますが、自然にアピール出来るので、アピール力は高いです。カブラなど重いものは底取りに優れており、タナの安定性に優れているので潮の流れが速い時にも使えます。
また、どのようなテンヤやカブラを使うとしても、テンヤやカブラの針の根元部分に孫針をつけておくのが常識です。
号数は深さと塩の速さで選ぶ
号数の選び方は、水深と潮流の速さで決めていく事になります。
水深で言えば、例えば水深が10mなら3号・100mなら10号~12号と言った感じです。
潮流で言えば、潮の流れが穏やかな時は3号・潮の流れが激しい時は10号と言った感じに選んでいきます。
この2つを組み合わせて、号数を選んでいきましょう。
色は金色がおすすめ
テンヤやカブラには様々な色がありますが、金色は万能色なので取り敢えず金色を選んでおけば間違いはないです。
他には、朝夕暗い時間帯や濁り潮の場合は夜光カラー・フグなど餌取りが多い時には敢えて着色されていないものを選んでみましょう。
潮馴染みがよく飲まれ切れもないテンヤ
ハリスを装着する部分にはローリングスイベルとチメ針仕様で、潮馴染みがよく飲まれ切れもありません。
テンヤはやや重心を上げて、シャクリ時に動きにキレがあります。
孫針は動かす事ができるので、エビのサイズに合わせて調整できます。
スナップスイベル
上記商品のようなスイベル付きの物であれば直結するのですが、それがない場合は交換を容易にするため、スナップサルカンをつけておくのが一般的です。
強度は5kgの物で十分です。
マダイテンヤの餌は冷凍エビ餌が一般的

出典:Foter
テンヤマダイ釣りの餌には、時期やエリアによっては活きエビを使う事もありますが、冷凍エビ餌を使うのが普通です。スーパーに売っている甘エビは使えなくもないですが、餌持ちが悪くコストパフォーマンスも悪いので、船宿で売られているエビ餌を使うのが普通です。サイズは7〜8cmの物を使います。
刺し方についてはさまざまな方法がありますが、ここでは一般的な方法を紹介します。
まずはエビのしっぽを切ります。そして孫針をエビの背中やお腹(背中に刺すのが多いです)に刺し、親針はしっぽを切った部分から刺していきます。刺したら針のカーブに合わせて押し込みます。針ではなく、エビを動かすのがポイント。親針を刺し始めた部分が親針全体の真ん中まで来たら針を出します。
この時エビ全体が真っ直ぐになっていれば完成です。エビが大きく曲がっていれば刺し直してください。親針を抜く位置が悪いと曲がってしまうので、エビとテンヤを並べてみて、親針を出す位置をあらかじめイメージしてみてください。
テンヤ狙いのポイントは季節ごとのマダイにアジャストしよう

出典:Pexels
船から狙うマダイテンヤ釣りは、時期によって水深が違ってきます。
夏場は水深が10mまでしかない場所にまで上がってきます。一方冬場は水深が100m以上もある海底に落ちることもあります。
狙う水深としては、春は30m・夏場は10mと浅く・秋は20m・冬場は80mが基準になります。水温が高いと水深が浅く、水温が低いと水深が深くなるため、春30m夏10m秋20m冬80mを基準に水温で判断してみましょう。
一方、マダイの適水温は15度~25度です。水温だけ見れば、日本のすべての地域でこの水温になる可能性があります。
しかしマダイが釣れる地域として、北海道や鹿児島県奄美地方・沖縄県全域ではマダイがあまり生息していないのでマダイ釣りが行われません。そのほかの地域、青森県から鹿児島県まで幅広くマダイが釣れるという事です。
マダイをテンヤで狙うときに持っていくと便利なグッズ

出典:Pexels
釣り人として持っていて当然のクーラーボックスやハサミやプライヤー以外に、テンヤマダイだからこそ持って行った方が良い道具を紹介します。
具体的に、「テンヤケース」「水1リットルを入れたペットボトル」の2つになります。
スポンジにフックを挟むから、動いてもしっかり固定
ダイワ テンヤケース 紅牙 ディープ(深底)タイプ
サイズ(mm)/幅:205×奥行き:145×深さ:40
素材/フタ・本体:PP、止具:ABS
収納量:15号までが約20個収納可能。
沢山のテンヤを試したい場合は、こういったケースがあると紛失するリスクがなくなります。
いざテンヤマダイに行こうとしたらテンヤが見当たらない、なんてことはなくしましょう。
特にこちらのテンヤケースは、孫針を伸ばして収納できるのでクセが付きにくくなります。スポンジに針を刺しておくと、動かしてもテンヤが固定されるので「あれ、あのテンヤどこいった!?」なんてことはありません。
水1リットルを入れたペットボトル
釣り方の項でも紹介した、リールのドラグ調整のための道具です。
あれば、船長に話しかける手間が省けるのでおすすめです。
テンヤマダイのゲストたち

出典:Pexels
テンヤマダイで釣れるマダイ以外の魚は、ヒラメやカサゴのような底物、温暖な地域ではホウボウ・マハタ・コブダイ(カンダイ)とゲストが多いです。しかし寒冷地でも高級魚アイナメがゲストで釣れてくれます。
マダイとよく似ているハナダイ(デコタイ)、これが曲者。ハナダイの見分け方はエラブタの縁の血のような赤さ、尾ビレの縁が黒くない事です。しかし食味が良いです。
他にはオニカサゴやメバルもゲストで釣れますが、どちらも良型が多いです。
シンプルなテンヤ仕掛けでマダイを狙ってみよう!
マダイのテンヤ釣りはいかがでしょうか。基本的な釣り方や必要な知識を知っていただけたと思います。
そんなに難しい知識は必要ないので手軽に始められます。しかしスリリングさとゲーム性で釣り人を熱くさせてくれます。