作成:2018.9.15 更新:2022.6.30
ヒラメの船釣り完全版!シンプルで魅力的なヒラメを船から狙おう!
とても美味しい高級魚、ヒラメ。最近はルアーでヒラメを狙うヒラメゲームも人気ですが、船から活餌を使う釣りも、なかなかエキサイティングで面白いですよ。今回は、そんなヒラメの船釣りについてとことん解説します。
目次
意外と獰猛で素早い海の忍者、ヒラメを船から狙おう

出典:Visual Hunt
ヒラメは煮ても生でも美味しく食べられる高級魚として知られています。
ヒラメは主に砂に棲んでいるといわれていますが、根回りや石などにも生息しています。周りの色に鮮やかに擬態できることから「海の忍者」との異名を持っています。
以外にも獰猛な性格で、俊敏な動きをしています。ヒラメにかじられてラインが切れたという事も意外と多く、ヒラメが一度食いついても走られて下糸まで持っていかれるという事も多いです。
そのヒラメの船釣りでは、「泳がせ釣り」で釣ることができます。
ヒラメ船釣りのシーズンは冬~春
ヒラメは春に産卵し、秋から寒さに備えてたくさんの餌を食べ脂をつける、冬は深い場所に生息する、そんな魚です。
秋のヒラメは沢山の餌を食べようとするので食い付きの率が高いです。春も上の方まで上がってくるので釣りやすく、いずれも初心者におすすめの季節です。つまり、春と秋のヒラメの船釣りは釣れやすいという事です。
一方で冬は、海底の方に棲んでいるのでなかなか釣れません。しかしこの時期のヒラメは最も脂がのっている時期なので、狙う人も多い時期ではあります。初心者には多少厳しいかもしれません。ちなみに、冬のヒラメは「寒ヒラメ」とも呼ばれています。
ちなみに、夏は産卵を終えて食味が落ちる時期なので、おかっぱりからのヒラメ釣り含めてあまりヒラメ釣りが行われない時期です。仮に夏にヒラメが釣れてもあまり喜ばれないようです。
ヒラメの船釣りでは専用タックルがおすすめ

出典:Pexels
それでは、ヒラメの船釣りにつかうタックルについて紹介します。
ヒラメの船釣りの専用タックルはかなり開発されており、取扱数は多いです。用意には困らないでしょう。ただ、ゲームロッド・真鯛ロッド・柔らか目のジギングロッドを流用しても構いません。
また、軽い釣り具を使った、ライトタックルヒラメなんてジャンルもあります。道具が全体的に軽いので、女性・子供・初心者におすすめです。ライトタックルヒラメを行う場合は、ライトタックルの使用が認められているか船に事前確認しておきましょう。
あまり長くないロッドを選ぼう
ロッドがあまり短すぎると、やり取りが大変になったり糸が船底に擦ったりオモリが浮いてタナが取りづらくなったりととにかく大変です。(タナとは魚が泳いでいる層の事を指し、そこに餌を合わせる事をタナを取ると言います)だからといってロッドが長すぎると、今度は手が疲れたりします。
最適なロッドの長さは2.3m~3mです。特に2.7mは定番の大きさです。
ヒラメの船釣りは長時間の手持ちになるため、もし手の疲れが気になるようでしたら2.4m程度でも構いません。
活餌の動きや活きなどが手に取るようにわかる感度の良いロッド・調子は6:4~7:3・50号~80号の大きいオモリに対応した物を選びましょう。
後程紹介しますが、ヒラメの船釣りには大物のうれしい外道が掛かることもあるので、その時のために多少パワーのあるロッドを選んでも構いません。
ライトヒラメロッド
ライトヒラメのロッドはとても軽いので疲れにくく、生餌やアタリや底の状況までわかりやすくなります。
長さは普通のものよりも少しだけ短く、2m~3mの物を使用します。短めの方がおすすめです。
調子は6:4調子、40号~60号のオモリに対応、少し柔らかめ竿の方が食い込みが良いです。
中型の電動リールを選ぼう
シマノ フォースマスター 600
ギア比:5.1
最大ドラグ力(kg):8.0
自重(g):495
最大巻上長(cm/ハンドル1回転):53
糸巻量:PE[タナトル](号-m) 2-300、3-200 / フロロ(号-m) 3-210、4-160
スプール下巻ライン PE(号-m):2-200、3-100
30m~100mまでのポイントを狙う事が多いため、PEライン3号を200m以上巻けるリールを選びましょう。冬場であればもっと必要です。ノーマルヒラメなら、電動リールを選びましょう。
大型のヒラメや大物のうれしい外道に対応するため、高性能ドラグ機能を持っているリールがおすすめです。先程書いた通り、ヒラメの船釣りは竿を手持ちすることになるためあまり大型のリールは選ばない方が良いです。中型のリールがおすすめです。
ライトヒラメリール
ライトヒラメでは、普通より少し細いラインを使用するので、それに合わせてリールも小さくなります。
両軸リールがメインになります。
PEライン3号がおすすめ
ラインはPEラインの3号が普通です。
ライトヒラメの場合はPEラインの1号を使用します。
ヒラメは泳がせ釣りで釣る

出典:Pexels
最初の方で軽く触れましたが、ヒラメの船釣りでは、泳がせ釣りで釣ることができます。一部では飲ませ釣りとも呼ばれます。
ヒラメはフィッシュイーターと呼ばれます。フィッシュイーターとは、小魚を食べる肉食魚の事。なので、生きているアジなどの小魚を餌にしてヒラメを釣る泳がせ釣りが一般的なのです。
後程も紹介しますが、泳がせ釣りの餌はアジやイワシがよく使われます。アジやイワシなどの生餌は船宿から確保します。
釣り方はいたってシンプル
事前に、船長の合図が来たら仕掛けを投げられるようにスタンバイしておいてください。
ポイントに着いたら、生きのいいアジを底に沈めます。アジ・オモリの順に投げます。この時オモリをどんどん落としていくと、生餌が針を刺した部分に引っ張られてしまい、弱ってしまいます。なるべくゆっくりと落としてください。
大体海底から1m前後がヒラメのタナとされています。こまめに底を確認しておきましょう。
また、生餌が弱らないようにやさしく操作してあげてくださいね。
ヒラメとの真剣勝負開始!
仕掛けを投げた時にオモリが海底に着いたら、オモリが倒れないように意識します。
竿を上下にゆっくりと動かし(必死に動かしすぎるとヒラメが逃げてしまいます)、動いているのが分かる程度のゆっくりスピードで誘います。慣れないうちはじっと待ってみても構いません。波が高い時は、波に合わせてロッドを上下に動かし、生餌を自然に泳がせるなどの工夫も必要ですよ。
ヒラメは合わせが難しい
ヒラメは「ヒラメ40(アタリがあってから40秒くらい待ってから合わせないといけないという意味です)」とも言われており、早合わせは厳禁です。ヒラメは飲み込みが遅い魚なので、アタリがあってから焦って即座に合わせても、食い付きや針掛かりに失敗してしまいます。
最初はコッコッと小さいアタリから、じきにグググッとアタリが大きくなります。その時が合わせ時です。ヒラメからイワシを引きはがすように合わせます。
ヒラメ釣りは難しいと聞いたり感じたりすることはありませんか?それは、合わせが難しいからとされているのです。逆に言えば、合わせのコツさえつかんでしまえば、ヒラメの船釣りは難しくはなくなるという事でもあります。
無理に巻き取らない
針掛かりしたヒラメは、その針を吐き出そうとして暴れ回ります。その時に無理に巻き取ろうとすると、鋭い歯で糸をかみちぎられてしまうのです。なので、ヒラメの引きに応じて糸を出してあげましょう。海底から3m~5mほど上がると大人しくなるので、そうなるとこちらの勝ちはもうすぐそこ。
引き上げ時も油断しない
さぁ、もう引き上げ!でも油断は禁物。
タモ網を用意し、タモ網の手前までは水中を泳がせ、タモ網の手前で水面スレスレまで上げます。そして、タモ網でヒラメを救うのではなく、タモ網の中にヒラメを誘導するようにします。そうしないと、最後の最後にヒラメが暴れ回り、糸切れなどで結局逃がしてしまったりすることになるのです。
タモ網の中にヒラメが入ったらこちらの勝ち!美味しいヒラメを堪能してくださいね!
ヒラメの船釣りでは、仕掛けが2種類ある

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ヒラメの船釣りでは「固定式仕掛け」「遊動式仕掛け」の2種類があります。入門者は、まず固定式仕掛けだけを覚えればよいと思います。
また、自分で仕掛けを自作するのが難しいと感じる方は、船が用意している、すでに出来上がっている仕掛け使いましょう。道糸に直接繋げるだけで仕掛けが完成するので、初心者の方はまず出来ている仕掛けを使用するのが良いです。
固定式仕掛けは初心者におすすめ
ハリスと呼ばれる針に繋がっている糸と、オモリに繋がっている捨て糸を動かないようにしたのが固定式仕掛け。
まずは道糸と幹糸と結び、幹糸の先に三又サルカンを付け、横にハリスと針を付け、もう一方には捨て糸とオモリを付けます。
合わすタイミングが難しくないため、入門者はまずこちらの仕掛けから。
基本的にハリスと捨て糸の長さは1mにするのが基本ですが、根が荒かったり(岩が多かったりする場所の事です)する場所では捨て糸を短くしてオモリが底にずっと付いていないようにします(オモリが底にずっと付いていると根掛かりしてしまいます)。
平らな砂地ではハリスを短くしてヒラメのタナに合わせます。
道具1. オモリ
オモリは50号~80号のものを使用します。
船宿によってオモリの号数が違うため、気になる方は事前に船宿に確認するようにしてください。
道具2. 針
手前側にある親針はチヌ針の5号~8号、又は丸セイゴやヒラメの17号を使用します。
ハリスの先端側にある孫針はトリプルフックの8号、又は伊勢尼の11~13号を使用します。
道具3. 糸
幹糸(サキイト)にはフロロカーボンラインの6号~8号を0.5m~1m使用します。幹糸が長すぎると大物が針掛かりした時に取り込みに苦労するので、60cmくらいの大きさでも構いません。
捨て糸はフロロカーボンラインの4号。根が荒いポイントでは50m~80cm使用しますが、それ以外なら1m使用します。根掛かりが心配だからといって捨て糸があまりに短すぎるとタナ取りに苦労します。
ハリスはフロロカーボンラインの5号~6号を使用します。潮の状況や速さ、波の状況によって長さを変えていくことが大切です。
道具4. サルカン
幹糸と道糸は、こういったサルカンで結ぶのが一般的です。
糸からみを解消するために多少大きめのものを使用します。
遊動式仕掛けは生餌の負担が少なくなるが…
ハリスと捨て糸の部分を遊動式にして、それぞれが自由に動くようになったのが遊動式仕掛け。
生餌への負担がなくなり、生餌が死んでしまうという事が少なくなります。加えて生餌の活動領域が広くなります。
ただ、ライントラブルも多くなったり、タナ取りが難しくなったり、アタリの時に合わせるタイミングも難しくなったりなど初心者には難しい仕掛けです。
道具. 遊動ビーズ
この遊動ビーズを、サルカンとサルカンの間にある幹糸に丸いビーズ部分を通し、もう一方の部分はハリスにつなげることで、生餌の活動領域が広くなり、生餌の負担が減ります。
生餌はアジやイワシなどの小魚

出典:Foter
フィッシュイーターことヒラメ、その船釣りに使う餌は、イワシやアジなどの小魚です。小サバやシロギスも効果的です。イワシが比較的よく使われます。
船宿が用意してくれる場合があるので、事前に確認しましょう。
餌の付け方を覚えよう
生餌である小魚を針に付けるやり方を紹介します。
少し複雑ではありますが、恐れるほど難しくはないです。しっかりと覚えておきましょう。
※生餌をつける前に注意!
針をかける前に、小魚の目を濡らした手で隠してあげると、暴れなくなるので針を通しやすくなります。覚えておきましょう。
また、生餌を入れておくバケツには最高でも3匹までにしてください。あまり多すぎると小魚がストレスで弱ってしまいます。
給水ポンプが付いている船であれば新鮮な海水が入るようにし、そうでなくても自力で海水を汲んであげましょう。酸素濃度が低くなると小魚は弱ってしまいます。
金魚すくいネットを使うと、小魚のうろこがはがれずに済みます。うろこがはがれる事でも小魚は弱ってしまいます。
最後に、生餌にイワシを使う場合は、うろこが取れないように注意してください。イワシはうろこが取れやすいです。
1. 親針は鼻か上顎に掛ける
左の鼻穴から右の鼻穴に通すやり方と、上顎か下顎に掛けるやり方の2種類がありますが、どちらでも構いません。自分のやりやすい方で掛けると良いでしょう。
鼻穴に通すやり方は、針にビーズか掛かっていると針が回りにくくなります。
また、上顎に刺すと仕掛けとともに小魚が深いところに沈んでいくと小魚の口が開いてしまい小魚が弱ってしまうので、下顎からさすやり方が多いです。
2. 孫針は背掛けか腹掛け
孫針を刺すときにも、背掛けか腹掛けの2種類から選ぶことになります。こちらは海底の状況やハリスの短さ、小魚の大きさに応じて使い分けていく必要があります。
背掛けは、背びれの付け根付近に針を刺すやり方です。ハリスが短かったり生餌が大きかったり、岩礁地帯など根掛かりが多そうな場所に使用します。
腹掛けは、肛門に刺すやり方です。平らな砂地など根掛かりが少なそうな時に使用します。
孫針を刺さないやり方もある
生餌のサイズが小さかったりする場合、針をあちこちに刺すだけで弱ってしまいます。なので、生餌のサイズが小さい時は孫針を刺さず、親針だけを刺しましょう。
ちなみに、この時の孫針はトリプルフックにするのがおすすめです。
ヒラメがいるのは海底

出典:Visual Hunt
基本的にヒラメは、よほど活性が高くない限りは海面から見えるような所には現れません。むしろ、基本的にかなり深い所を泳いでいることの方が多いです。特に冬場は、100m~200mの場所を泳いでいます。一方でシーズン終盤の春は30mくらいの場所まで上がってきます。春が釣れやすいと言われるのはこのためです。
エリアについては、北は北海道から南は屋久島まで様々な所が対象です。太平洋・日本海・さらには東シナ海や瀬戸内海もエリアに入ります。
北海道や茨城県がヒラメの産地として有名ですね。
ヒラメの船釣りでは準備万全に

出典:Visual Hunt
ヒラメの船釣りは、何も竿・仕掛け・生餌・クーラーボックス・ライフジャケットだけを持っていけばいいなんてことはありません。ほかにも持っていくべき道具はあります。
小魚用ネット
先程詳しく説明しましたが、小魚はうろこが剥がれることで弱ってしまいます。こういった小魚用ネットがあると、生餌になる小魚が弱らずに済みます。必ず用意しておきましょう。
後はここで紹介していないくても、熱中症予防のための帽子・眩しさを抑えるための偏光グラス・滑らないためのフットウェア・ずっと竿を持っていなくて済むための竿掛け・ラインカッター・釣ったヒラメを〆る時はナイフも必要です。
ヒラメの船釣りは外道も多い

出典:Pexels
ヒラメの船釣りは、常に外道が付きまとうと思ってください。というのも、岩礁地帯から砂泥底までありとあらゆる外道が釣れるのです。ただ、外道だからといっても嫌わず、美味しく頂ける魚ばかりなのです。
また、ブリ・マゴチ・メバル・マダイなどの嬉しい外道も多いですが、ブリは針掛かりの時に横走りするのでオマツリしやすいです。
またフグもヒラメの船釣りの外道としてよく釣れますが、ハリスや生餌を弱らせてくるので注意してください。
砂泥底に棲む外道
マトウダイ
ヒラメの船釣りの外道でまず代表的なものはマトウダイ。まとまって釣れるのでヒラメ釣りの人にはとにかく嫌われます。しかし秋冬になると旨くなるので、そういう時期に釣れたらついでに調理してあげてください。
タチウオ
ヒラメと同じく獰猛なフィッシュイーターです。春夏には浅い所に棲んでいますが、秋になると水深40mのところを群れで移動します。水質が濁っていると良く釣れるので、気をつけてください。美味しく頂ける外道です
イズカサゴ
三浦・外房方面の深場にいる、貴重な魚。めったに食べられない超高級魚ですが、毒を持っています。
もし刺されたら、熱湯をかけるか熱い蒸しタオルをつけると毒が抑えられます。
岩礁地帯に棲む外道
クロソイ
北東北太平洋側や北海道の岩礁地帯に棲む外道です。
引きの強さがヒラメの引きと同じなので、ヒラメと思って期待したらこれだったとガッカリしてしまいやすいですが、クロソイは立派な高級魚です。
キツネメバル
冬から春にかけて、茨城県の岩礁地帯でよく釣れる外道。
高級魚で、釣れると嬉しい外道の1つとされています。
まとめ
ヒラメの船釣りは、確かに簡単ではないところがあります。ただ、恐れるほど難しくもないのです。ヒラメの船釣りの釣り方をしっかりと学習してからいざやってみると、意外と簡単だったと拍子抜けする事も多いです。
最近はヒラメをルアーで釣るヒラメゲームも人気ですが、こうした生餌を使うヒラメ釣りもゲーム性があって、奥が深くて面白いですよ。美味しい外道もとても多いので、ヒラメをルアーで釣っている方こそ、たまには船釣りでヒラメを生餌で釣ってみては?